帰国生界隈のひとりごと

国際関係分野のテーマを取り扱います。ラフに書きます。色々つっこみます。きっと知識が身につきます。日本語育ちforeigner

新興宗教とウィズコロナを逆さに見る【前半】

 

雨か..蒸し暑い..台風も来るのかよ!

そんな日が続いております。

 

コロナ以来、旧統一教会を含むいわゆる新興宗教は虎視眈々と社会を見つめているようだ。

何かと騒がれるいわゆる新興宗教について、教祖の視点から見てみようではないか。と思った。

 

Phase3-5→準備中

 

Phase-1 宗教は本来、社会的に必要である筈

この感染症の時代、伝統宗教は宗教的世界観を崩さず、コロナ禍においては科学的知見とともに新たなウイルスへの理解を示す。天台宗は利他の精神を想起させ、カトリックは改めて犠牲者に主キリスト教を通して父である神に祈りを捧げ続けている。

他方、韓国の新天地イエス教会でクラスターが発生した背景には、教理に従って強制的に対面で礼拝堂に通わせたり、ワクチン接種の禁止令に従わせた過激行為が現れていた。この間神社や教会を持たない新興宗教は、かつてない財政難に陥ったようである。なるほど、恐らく彼らは伝統宗教と異なる独自のビジネスモデルを発展させ、学生への声掛けやインターネットを通じた布教の活発化を始めたわけなのか。

一つ前に世間を騒がせたのは、さかのぼればオウム真理教が思い当たる。そこで、オウム真理教を一例として「カルト宗教」の実態を考察し、彼らがコロナ禍に如何なる行動をとり、またこれからとりうるかを、高度経済成長期とのいくつかの共通要因を考察したいまた、国際的にもこの蔓延は必然であったのか、その運営方法の考察を交えて検証していきたい。

本稿は筆者の検討を経た私見にすぎず、特定の何かへの非難や追及を意図するものではない。

 

[1] 島薗進新宗教を問う―近代日本人と救いの信仰』筑摩書房、2020年、p.260。

 

Phase-2 孤独な人々が集まり、信徒が生まれる

「カルト」は本来学術用語でなく、島菌(2001)によれば、伝統に対するポストモダンの新、そして古くなりゆく新を超えた「新新宗教が1970年代後半から急速な発展を見せた統一教会エホバの証人幸福の科学をといった教団を指すものとする論者がいる。本稿ではこの定義を援用し、通俗的な「カルト宗教」を新新宗教と呼び、天理教霊友会、大本などを含まないとりわけ1970年代以降に興隆した東洋系の新興宗教に限定したい。これらの新新宗教について特筆すべきは、仏教における輪廻や涅槃といった現世否定的な次元でなく、目の前に存在する「現世」でよりよい幸せや共同生活を追求することにある。そのために孤独な信者が集まり、組織のためのワークに集中して修行する。人をデータの蓄積という視点でしか見なかった結果、不可解な価値観で教団外の人々に力ずくで押さえつけて暴走し、善悪二元論的な世界を求めて事件を引き起こした。1995年当時、警察が発見したオウム真理教の信徒名簿では、20代と30代75.4%で男性が多く、高学歴の理系学生や大学院生を含まれていたという[1]その原因をオウム真理教の事例を通して考察し、一般に語り尽くされる暴力による支配のほか、教祖視点からより写実的な三つの側面を取り上げる。

 

①欲望:果てなき欲求への希望を見せる

従来の伝統宗教では悪の実在を誇張し、「外部の悪と戦うことで自らの存在を善とする」信仰が広く見られる。対照的に、オウム真理教は世俗的な倫理を飛び越えて「悪の実在」を誇張する。したがって、この世界における悪を除いて邪魔者を消し去る、という思考に至る。OhMyGod!この独自な悪と自己の概念が無差別殺人の引き金となり、現代社会に異端と思われる諸要因となった。地下鉄サリン事件は新新宗教を社会問題化し、その内実もポアの大義名分と、新進気鋭な若者精神の根底に訴えかけられる「欲望」の具現化を提供して信者を増やしたと見出す研究が多い。

 

②財政:独自のビジネスモデルを構築する

その成立時期を観察すると、オウム真理教を含む新新宗教が成長した時期は、1986年頃に始まるバブル期で国民が連帯意識を持って目標に前進する時代であった事が分かる。高額な参加費徴収を目的とするセミナーの開催や、松本智津夫麻原彰晃)の髪が入った飲料水の販売(!?)に加え、全国40社の関連企業でパソコンの部品販売や組立を行うなどして財政基盤も整えていた。警視庁によれば、そのうち東京都内3店舗だけでも平成10年度時点で60億円近い売上がある[2]。中々な数字だ。ハゲないのだろうか。彼らの最盛期における資産は他のマイノリティ宗教を優に超え、活発な活動からも「財政」は相当に潤沢であったことが読み取れる。

 

③メディア:話題性を持たせて宣伝する

痛烈な社会的非難の下で、学生を中心とした若者が教団に加入し、また離脱しない理由は何であるか。通俗的な見解は組織によって欺かれ続けているという洗脳論やマインド・コントロール論であるが、一方でこれは新新宗教信者の過半数が直接的な勧誘がなくとも自発的に入信していることが調査で裏付けされている事実[3]を説明できない。そこには、伝統宗教がもたない死生観を持ち、教祖や幹部らにおける「メディア」の露出を通して次々に若者信者の関心を集めたことがある。新新宗教が停滞した2000年代に入ってからも松本の意志を継ぐAlegh(アレフ)が活動していることからも、少なくとも最盛期にテレビ番組を見て入信した若者らが、その後自らの信念として松本を支持していることが分かる。

 

[2] 警視庁警備警察「オウム真理教 活発化する動き」https://www.n pa.go.jp/archive/keibi/syouten/syouten260/it3.htm(最終閲覧日2022年8月14日)

[3] 島田裕巳『最新・新宗教事情―カルト・スピリチュアル・おひとりさま』勉誠出版、2009年、p.2。

 

続く..

 

 

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